1月18日(土)、鳥海希世子さん(東京大学大学院情報学環特任助教)を講師にお迎えし、お話を伺いました。
講師のご専門はメディア・スタディーズ。参加者14名。
●メディアリテラシーとは
2005年の水越伸『メディア・ビオトープ』には、メディアリテラシーとはメディア操作活動、メディア受容活動、メディア表現活動とある。学生に聞くと、学校では「パソコンの使い方を学んだ」といっていた。リアルとバーチャルの分断が言われてきたが、スマホの登場により、その色分けも意味がなくなり、ネット社会を前提として考えなければならない時代になっている。
●フィルターバブル
検索エンジンの順番はどう決まるのか? インターネットの検索サイトは、ユーザーのプライベートな情報を解析し、ユーザーが見たくないような情報を遮断し、見たいと推定される情報を返してくる。そのために、まるで泡の中に包まれたように自分好みの情報しか見えなくなる。この現象をフィルターバブルという。フィルターのかかった情報の世界は自分にとって居心地の良い世界だが、懸念もある。
2016年のブレグジット決定はよもやの出来事だった。当時ロンドンに住んでいたが、街中で見かける人はほとんどが外国人で離脱はまったく考えられなかった。ネットでつながる友人・知人からの情報も、賛成につながるものはなかった。自分が泡の中の住人で全体を見る目を失っていたということだ。ロンドン中心部は英語を第一言語としない子どもが51%だが、イングランドのその他の地域では10%だったのだ。
●この泡をどう破るのか
検索エンジンを切り替える方法はあるが、異なる背景や視点を持つ人と出会う、普段出会わない「他者」を知る、という方法がある。出会いの場としてのメディア実践としては、コミュニティFMやコミュニティテレビなどで、一緒にコンテンツを作る。また、異年齢の人たちと、写真を持ち寄って、「あいうえお画文」づくりなども楽しい。地域コミュニティは多様な人材の宝庫だ。異なる背景や視点を持つ人、普段、出会わない人と出会う場を作ることが多文化共生につながるのではないか。